1998 Fiscal Year Annual Research Report
想像世界の形成と維持にかかわる“会話能力"と“想像力"の発達的研究
Project/Area Number |
10610118
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
麻生 武 奈良女子大学, 文学部, 教授 (70184132)
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Keywords | 想像力 / 待ち能力 / 会話能力 / ファンタジー / 幼稚園児 |
Research Abstract |
10年度の実験として、子どもたちが資源の少ない閉鎖空間の内部において、単独であるいはペアでどのように想像活動を行うのか調べるため、以下のような手続きで実験を行った。これは本年度の研究実施計画にそったものである。当初の計画を完全に実施することができた。<方法>被験児;N幼稚園年長児 (1)第一実験:31ペア、計61名(平均6歳1ヶ月)(2)第二実験:45名(平均6歳3ヶ月)実験装置:N大学付属幼稚園研究準備室に直径約160cm高さ約180cmの段ボール製の円筒形のロケットを設置した。座席前方にスリット状の窓、右側面に直径約40cmの丸窓がある。丸窓の前方に黒いビニールで覆ったVTRカメラが、スリットの窓に小型録音マイクが2本設置してある。ロケットの周囲はカーテンで仕切られロケットの内部から実験者の姿は見えない。手続き;(1)第一実験:同性の仲良しのペア(計31組)を実験室に連れてきて、これからロケットに乗り月へ行く練習をしてもらうと伝える。15分間経過すれば迎えに行くが、もし途中で出たくなればブザーを3回鳴らすようにと教示する。(2)第二実験:第一実験の約2ヶ月後に、第一実験に参加した子どもたち(45人)に対して今度は一人でロケットに乗るという状況で実験を行う。ペアではなく一人で乗ること以外は、第一実験と手続きは全く同じである。(3)子どもたちの親にアンケート調査を行う。〈結果〉 31組のペアの平均搭乗時間は11分25秒、単独条件下の45人の平均搭乗時間は11分32秒であった。これはSinger(1961)の結果に比べるはるかに長い待ち能力である。単独とペアの搭乗時間が強く相関していたことから待ち能力の一貫性が示された。また、この待ち能力は父兄へのアンケートから、親が子どもに積極的に関わる程度と関係していることが示唆された。[今後の計画]会話データの分析によって会話維持や想像世界の共同構成のプ口セスを解明する。実験を年中、年少に拡大する。
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Research Products
(2 results)