1998 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の在宅介護者に対するソーシャルサポート介入に関する基礎研究
Project/Area Number |
10610119
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 宏二 岡山大学, 教育学部, 教授 (00087983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 共子 岡山大学, 文学部, 助教授 (40227153)
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Keywords | 在宅介護者 / 高齢者 / 日常生活動作能力 / 痴呆 / 介護負担感 / サポート(公・私的) / ストレス反応 / 介入プログラム |
Research Abstract |
本研究は、在宅において介護を行い、ストレス・危機的状況にある介護者を対象に、社会的支援による計画的介入を行い、健康と安寧を防御する手だての基礎分析と適用方法を総合的に明らかにするものである。さらに次の3点を目的とする。(1)介護者の精神的健康度(介護によってもたらせれる精神的諸問題を明らかにする)の実態と問題点の抽出,(2)介護者の介護負担・精神的健康面改善のニーズ(ソーシャルサポート・ネットワーク拡充等)の解明,(3)ニーズに対応した介入の実施と評価を行う(介入:介護者同志の自助集団の構成→介護者間の交流・情報交換→地域の福祉・保健関係等の専門家等との意見交換・相談→介護者の生活・精神的健康面での改善、サポートシステムの構築→評価) 本年度に実施した研究の実績を、次に報告する。まず(1)の介護者の精神的健康度の実態と問題点の抽出については詳細な面接調査(6名)とアンケート調査(約600名を対象)を行った。集団へのアンケート調査については、現在、回収した資料を分析中である。順次、報告・発表を行う予定である。面接調査の結果は、本年8月にアジア社会心理学会議に発表予定。分析の結果、介護に対する感情のプロセスでは、衝撃〜昇華の6段階の移行が、比較的スムーズに看られる群と昇華期までの移行が見られず、抑うつ期で留まっている群とに大別され、その要因として続柄や痴呆の有無の関係が示唆された。 (2)の介護者負担・精神的健康面改善のニーズについては、今後調査予定。(3)については、次年度の研究計画であるが、当初計画していた自助集団の構成が、既に会員の自発的な活動、もしくは社会福祉協議会・保健所等によってセルフヘルプ・グループの育成がなされつつあることが、アンケート調査中に明らかになってきた。そこで介入のプログラムを、さらにストレス軽減に向けた内容へと変更・改善を図り、「介護者の会」等の同意を得ながら早期に実施していく予定である。
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