1998 Fiscal Year Annual Research Report
日本の児童生徒における他者との相違の認知と受容に関する発達的検討
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10610122
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
渡辺 弘純 愛媛大学, 教育学部, 教授 (30036412)
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Keywords | 人間の相違 / 認知と受容 / 発達的研究 / 比較文化的研究 / 幼児・児童・生徒 / 日本 / 中国 / 米国 |
Research Abstract |
「自己の他者と相違する諸側面」及び「他者の自己と相違する諸側面」の認知と受容に関する文献的研究を行うと同時に、米国・中国の研究者との意見交換を行った。これにもとづいて、「自己の他者と相違する諸側面」及び「他者の自己と相違する諸側面」の認知と受容を測定するための日本版の調査用具を作成して、小学生・中学生・高校生を対象に、調査を実施した。また、次年度の調査のために、米国版と中国版の調査用紙を作成し、中国版については、既に発送した。加えて、次年度の幼児と小学校低学年児童を対象とする面接調査のために、幼児を対象とする予備的調査を実施し、面接調査用の図版の作成について検討した。 現在、既実施分の調査を分析中であるが、結果の一端を示すと、次のような事実が得られている。 1) 「自己の他者と相違する側面」と「他者の自己と相違する側面」として、身体的特徴、性格、行動的特徴、能力、好悪、考え方、物質的基盤、所属等があげられた。2) 「自己の他者と相違する側面」において、性格よりも、能力や身体的特徴が、より意識されていた。3)発達的には、年長になるに従い、(1)能力や身体的特徴の指摘から性格の指摘へ、他者の自己と相違する側面の受容が容易になる方向へ、変化する。4)日本人においては、「他者の自己と相違する諸側面」の受容の方が「自己の他者と相違する諸側面」の受容よりも容易である。この傾向は、女子において顕著である。すなわち、女子の方が「他者の自己と相違する諸側面」の受容は容易であるが、逆に「自己の他者と相違する諸側面」の受容は困難である。
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[Publications] David S.Crystat: "Concepts of Human Differences:A Comparison of American,Japanese,and Chinese Children and Adolescents" Developmental Psychology. 34・4. 714-722 (1998)
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[Publications] 濱田直美: "児童における他者と相違する自己の諸特徴の受容" 愛媛大学教育学部紀要 第I部教育科学. 45・2. 41-60 (1999)