1998 Fiscal Year Annual Research Report
集団意思決定の的確性および創造性を高める合議プロセスに関する研究
Project/Area Number |
10610125
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山口 裕幸 九州大学, 大学院・人間環境学研究科, 助教授 (50243449)
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Keywords | 集団意思決定 / 合議プロセス / 的確性 / 創造性 / チーム・コミュニケーション / 情報の共有 |
Research Abstract |
本研究は、集団意思決定を行う際の的確性と創造性を促進する条件を明らかにすることを目的としている。とりわけ重要な要素として、合議プロセスにおいてメンバーたちが意思決定に活用する“課題環境に関わる知識"(どのメンバーがどのような知識をどの程度持っているのかについての知識(メタ知識)や、結論を報告する相手の特性、あるいは合議集団に対する社会的評価の程度といった状況把握的な知識等)に注目した。そして、それらが合議による集団レベルの情報処理プロセスに与える影響を詳細に吟味し、決定の的確性と創造性に及ぼす効果性を明らかにすることに取り組んできた。 実証活動は、計画通り、初年度は、実証活動の場を企業組織の現場に求めた。総合電器企業の東京支店から研究協力を得て、社内の販売企画会議の内容分析的研究を推進した。まず第一段階として、過去の会議報告書を分析し、その合議の過程で、メンバーの保持情報に関するメタ知識がどのように活用されているか検討した。円滑な意思決定とチーム・コミュニケーションを行っている集団では、メンバーどうしが互いにどのような情報を持ち、日頃、どのような販売営業営業活動を行っているかについてよく把握していることがわかった。そして、メタ知識の活用の根底を支える集団成員間の情報共有の高さの重要性が明らかになっている。現在、的確な意思決定を実現する条件および創造性を促進する条件について、管理職のリーダシップや日頃のチーム・コミュニケーションのようす等も視野に入れながら、さらに詳細な内容分析を進めている。また、質問紙調査も実施し、チーム・ミーティングや意思決定プロセスに関するメンバーの認知特性について明らかにすることにも取り組んでいる。実証活動と並行して、内外の関連する研究知見をリビューし理論的枠組みの精緻化も進めている。
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[Publications] Hiroyuki Yamaguchi: "The effects of reinforcing the consciousness of interdependence of the teams on consensus forming." Research Bulletin of Educational Psychology, Faculty of Education, Kyushu University. 43. 23-31 (1999)