1999 Fiscal Year Annual Research Report
教師の「勇気づけ」が児童の学級適応及び学級集団過程に及ぼす影響
Project/Area Number |
10610127
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
古城 和敬 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (00145351)
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Keywords | 勇気づけ / 学級適応 / 学級集団過程 / 教師と児童の人間関係 / 教師期待の認知 / 学級介入研究 / アクション・リサーチ / PAC分析 |
Research Abstract |
本研究は,最近注目されている「勇気づけ」の教育への適用可能性を探る目的で,教師の勇気づけが児童の学級適応と学級集団過程に及ぼす影響を実験的に検討した。被験者は小学校3〜5年の8学級(実験学級5,統制学級3)の児童,計244名であり,実験学級では,教師が勇気づけを継続的に2ヶ月間実践し,統制学級ではそうした介入を一切行わなかった。その間の,事前,実践中,および事後の児童の学級適応(「教師への態度」など)が測定された。さらに,事前の測定で学級適応度,ソシオメトリック地位や教師期待認知の低い児童を12名抽出し,個別面接や観察を通じて彼らの変容過程を追跡した。なお,実験学級の教師には事前に,勇気づけのインストラクター有資格者による訓練を9セッション(計18時間)行った。 統計処理には,本来は学級単位のデータを用いるべきであるが,現時点では標本数が少ないので,個々の児童のデータを用い,条件(実験学級vs.統制学級)×測定時期(事前vs.実践中vs.事後)の分散分析を行った。その結果,「教師期待認知」と「教師への態度」の測度において,予測と一致する方向で交互作用が有意であり,実験学級の方が統制学級より事後の得点が有意に高いことが見出された。抽出児の面接と行動観察の結果でも,上記と同様の傾向が認められた。 以上の結果から,教師の勇気づけは,児童一人ひとりの学級適応を肯定的に変容させると考えられる。特に,対教師関係の改善や発展を促進するといえよう。勇気づけには,児童をありのまま受け入れ,彼らの努力や進歩を認め,自主性・自立性を支援する態度が求められる。本研究は研究半ばの段階ではあるが,教師のこうした態度と行動が学級改善に極めて有効であることが示唆された。
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