1998 Fiscal Year Annual Research Report
学習障害児の社会的不適応の原因の分析と指導技法の開発
Project/Area Number |
10610128
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
佐藤 容子 宮崎大学, 教育学部, 助教授 (50196284)
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Keywords | 学習障害児 / 社会的適応 / 社会的スキル / 社会的情報処理 |
Research Abstract |
1. 学習障害サスペクト児の抽出と学習障害児の識別 (1) 宮崎市とその近郊の幼稚園と保育園、計47園の年長児の学級担任に、学習障害児の行動特徴を示して、そのような行動特徴をもっている子どもを選び出してもらった。次に、これらの子どもの中から、上野(1984)および森永ら(1992)の学習障害児識別のための尺度と子どもへの個別面接による検査の結果をもとにして学習障害児を選び出し、タイプに分類した。 (2) その結果、1360名の母集団のうち、学習障害児は、男児43名、女児12名、計55名であり、これは、全体の4.04%にあたる。そのうち、言語性のみの学習障害児は4名(全体の0.29%)、非言語性のみは37名(2.72%)で、残りの14名(1.03%)は、両方の特徴を併せもっていた。 2. 学習障害児の社会的適応の状況と社会的スキルの査定 (1) 学習障害児は、SSRS-J(日本版教師評定用社会的スキル尺度)の、「問題行動」以外の全てのカテゴリーで健常児よりも得点が低く、「問題行動」カテゴリーでは健常児よりも得点が高かった。学習障害児の課題不従事行動は健常児の3.15倍、攻撃・妨害行動は5.00倍の頻度であった。学習障害児は、自由遊び時間の53.6%を孤立行動に、19.8%を協調遊びに費やした(健常児は順に、21.2%と38.6%)。 (2) 仲間による受容は、健常児群の受容度の平均標準得点が0.30であるのに対して、学習障害児群は-0.96であり、学習障害児の仲間受容が低かった。 (3) Dodgeら(1994)のモデルに基づいて、学習障害児と健常児の社会的情報処理能力を比較した結果、学習障害児は健常児に比べて、相手の意図を敵意的にとらえやすいことと、対人関で発生した問題についての解決方法を考え付く数が少ないことが明らかになった。
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