1999 Fiscal Year Annual Research Report
学習障害児の社会的不適応の原因の分析と指導技法の開発
Project/Area Number |
10610128
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Research Institution | Miyazaki University |
Principal Investigator |
佐藤 容子 宮崎大学, 教育文化学部, 助教授 (50196284)
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Keywords | 幼児 / 学習障害児 / 社会的適応 / 社会参加度 / 孤立行動 / 社会的スキル訓練 / 注意力訓練 |
Research Abstract |
幼稚園・保育園の年長組の担任教師(または保育士)に、学習障害児の行動特徴を示して、そのような行動特徴をもつ子どもを選び出してもらった。次に、これらの子どもの中から、上野(1984)および森永ら(1992)の学習障害児識別のための尺度と子どもへの個別面接による検査の結果をもとにして、社会的適応のまずい学習障害児を抽出した。これらの幼児を、(1)注意力訓練群(3名)、(2)社会的スキル訓練群(5名)、(3)訓練なし統制群(3名)の3群に分けた。 注意力訓練群の幼児には、注意の維持と焦点化の能力を高めることを目的として作ったプログラムを用い、社会的スキル訓練群では、社会的情報処理モデルに基づいて作った社会的スキル訓練プログラムを用いて、それぞれ12セッションの訓練を行った。訓練なし統制群ではこの期間、特別な訓練を行わなかった。 訓練効果をみるために、教師評定によるSSRS-J(日本語版社会的スキル評定尺度)と、自由遊び時間中の行動観察、ソシオメトリック・テストを、訓練の前と後に行った。 その結果、注意力訓練群は訓練とともに、設定保育場面での課題不従事行動が減少し、自由遊び場面では孤立行動が減少し、社会的行動が増加した。SSRS-Jによる社会的スキル得点は増加し、問題行動得点は減少したが、ソシオメトリック・テストの結果には変化がなかった。 社会的スキル訓練群は、訓練によってソシオメトリック・テストの結果が改善したが、自由遊び時間中の社会参加度とSSRS-Jの得点の改善は比較的小さかった。しかしながら、この群では、社会的スキルの中でも、特に、仲間入り行動の改善が著しかった。
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