1998 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆性高齢者の「自己統合」による「関係維持・生活実現」支援法の開発
Project/Area Number |
10610142
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
喜多 祐荘 東海大学, 健康科学部, 教授 (70153088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 政明 三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (90065318)
安藤 順一 同朋大学, 社会福祉学部, 教授 (00121418)
渡辺 俊之 東海大学, 医学部, 助手 (70240512)
村田 要一 東海大学, 医学部, 講師 (80190924)
谷口 幸一 東海大学, 健康科学部, 教授 (20141161)
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Keywords | アルツハイマー型痴呆 / 逆向性記憶障害 / 長期記憶再成 / 連想強化質問 / 「自己統合」支援 / 「関係維持」支援 / 援助研修マニュアル / ビデオ分析基準 |
Research Abstract |
1. 痴呆性高齢者(逆向性記憶障害による)の、残存する長期記憶の再生(回想)による「自己統合」および援助者との「関係維持」、並びに、周りの人々との「生活実現」を支援する方法の開発に向けて、初年度は、(1)施設職員への趣旨説明、(2)援助の実施・記録・振り返りの「援助研修マニュアル」の作成、(3)援助者の援助研修、(4)初年度の対象者の選定、(5)マニュアルに則った援助の実施・記録・振り返り、を行った。 2. 援助の実施の手順は、個別の信頼関係のもと、(1)記憶再生への傾聴、(2)再生内容への共感、(3)本人の解釈の受容、(4)本人の感情への一致、(5)本人の意思への支持、そして、共に日常生活に戻る、を基本に。 3. 実施の結果、(1)この援助研究に対する施設責任者・援助職員の理解を深めえた。(2)対象者に関しては、記憶再生・自己統合・感情安定にともない、関係形成・自己実現・生活参加の意欲の高まりがみとめられた。(3)職員自身の感性の高揚および利用者と職員の生活場面で持続的な了解的雰囲気がみとめられた。 4. 実施結果の検討課題は、(1)援助実施の中で現れた対応上の課題を整理して、マニュアルを補充・改良すること。(2)援助場面の記録のポイントをしぼること。(3)「ビデオ分析基準」を作成すること。(4)対象者の事前評価の様式を設定すること。(5)対象者の家族史・生活史・体験の事前聞き取りの様式を設定すること。 5. 次年度の取り組み課題は、(1)援助実施の対象者の選定に当たり、その特性を事前評価し、援助実施による変容の事後評価に連動し得るようにすること。(2)援助実施において、ビデオ分析基準による変容過程の確認に入っていくこと。(3)これらの評価・確認の作業に、援助の実施に当たる職員の参加を求めること。
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