2000 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆性高齢者の「自己統合」による「関係維持・生活実現」支援法の開発-「自我・役割関係」の受容と「共通世界」の創造-ビデオによる定性的解析を用いて-
Project/Area Number |
10610142
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
喜多 祐荘 東海大学, 健康科学部, 教授 (70153088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米山 奈奈子 東海大学, 健康科学部, 講師 (20276877)
渡辺 俊之 東海大学, 医学部, 助手 (70240512)
谷口 幸一 東海大学, 健康科学部, 教授 (20141161)
太田 貞司 北海道女子大学, 人間福祉学部, 教授 (90223833)
星野 政明 三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (90065318)
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Keywords | アルツハイマー型の痴呆 / 逆向性記憶障碍(障害) / 長期記憶の再生 / 個人回想面接 / 援助研修マニュアル / 自己表現の共感・受容・支持 / 自己と環境の統合機能 / 援助者による対象者理解の変容 |
Research Abstract |
1.痴呆性高齢者(逆向性記憶障害による)の、残存する長期記憶の再生(回想)による「自己統合」および援助者との「関係維持」、並びに、周りの人々との「生活実現」を支援する方法の開発に向けて、3年目は、(1)施設職員への趣旨説明と日程打ち合わせ、(2)「援助研修マニュアル」による、援助者の個人回想面接の方法研修、(3)第2年度の対象者の選定、(4)対象者の生活歴・記憶年代の事前確認および精神機能状況の事前評価、(5)マニュアルに則った個人回想面接の実施・記録、(6)日常生活場面における個人回想面接の継続・記録、(7)面接者の振り返り、(8)対象者の精神機能状況に対する面接者による事後評価、を行った。 2.面接実施の結果:(1)本人の自発的回想を重視したところ、対象者の再生記憶は、どの事例でも清澄であった。(2)再生記憶年代は幼児期以降であり、記憶再生の話題とその年代には個人差が現れた。(3)記憶再生の話題は、個人別にほぼ共通であった。(4)共感・受容・支持関係の中で、本人による自己の話題(映像認識)への集中と感情(評価)表出と伝達(相互理解)意思が認められた。(5)日常生活場面から個人面接場面に誘導される際、1回目は不安を示すが、3回目には「来たことがある気がする」と話す人が認められた。(6)個人面接場面から日常生活場面へ誘導されて本人が移動した際、今居る場所の記憶再生が出来なかった。(7)日常生活場面に出迎えた職員も交えた、個人面接場面の話題の継続が認められた。 3.面接者側の変化:(1)面接の振り返りの中で、面接中の「間(マ)」の大切さが理解された(対象者が回想を深め考えていること)。(2)面接者による対象者の精神機能評価が、面接前と後において、大きく変化した(対象者の生活面の評価の変化は認められないが、認知・感情面の肯定的評価への変化が大きい)。これは、面接者による対象者の精神内面への理解が深まったことによると考えられる。
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