2000 Fiscal Year Annual Research Report
教師の成長を支えるサポートネットワークと教師文化の研究
Project/Area Number |
10610145
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋田 喜代美 東京大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (00242107)
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Keywords | 成長 / アクションリサーチ / 談話 / 同僚性 / カンファレンス / 比喩 / 教師文化 / 学校用語 |
Research Abstract |
本年度は第1に、昨年度1年間30週分の同一クラスの同一時間の談話を収集したビデオとそのビデオをみてのカンファレンスの談話分析を実施することによって一人の小学校教師のアクションリサーチを通しての意識変容とアクションを通しての学級内開係性の形成過程の変容とその変容をもたらすカンファレンスのあり方に関して,分析検討を行った。その結果、子どもの関係に関する内容についてのカンファレンスの過程では、その子どもに対する教師イメージの語り直しの過程と捉えることができること、カンファレンスに立ち会う他者はその子どもに関して、イメージの表出、イメージの付加、イメージの深化、イメージの共有の4段階がみられることが明らかになった。特にイメージの付加から深化への過程においては、付加されたイメージについて教師が具体的な例を回想しやすいこと、あるいは回想できなくてもビデオなどでその事実を確認できることが必要であることも示され、反対に具体的事例が伴わない史的に対しては共有がむずかしく深化も生じにくい結果が得られた。また子どもに関する語りだけではなく、学習環境、指導方法に関するカンファレンスの分析からは、教師自身の教職経験に伴う歴史性がカンファレンスにおける変容に影響をうけており、またカンファレンスの初期にはその内容を教師がそのまま受け入れる姿勢をとるのに対し、次第にさらにその会話から教師が省察を行い次の実践をデザインすると言う過程が重視されるよう変容していくことが指摘された。第2には、校内研究における談話分析を通して、各学校がカンファレンスにおいて使用する談話のためのキーワードがあり、それらを教師が互いにとりこみあうことによってその学校の授業や教育に対する信念が共有され、文化として構成されていくことが明らかになった。
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[Publications] 秋田喜代美: "これからの教師の専門性"教育展望. 46(1). 36-47 (2000)
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[Publications] 秋田喜代美: "学習環境という思想"学校教育. 994. 68-71 (2000)
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[Publications] 秋田喜代美: "「デザイン」を表現する学校"子どもと教育. 29. 72-95 (2000)
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[Publications] 秋田喜代美,市川洋子,鈴木宏昭: "アクションリサーチによる学級内関係性の形成過程"東京大学教育学研究科紀要. 40(印刷中). (2001)
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[Publications] 鈴木宏明,市川洋子,秋田喜代美: "アクションリサーチによる学級内関係性の形成過程(4)〜(6)"日本教育心理学会第42回総会発表論文集. 70-72 (2000)
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[Publications] 市川洋子,秋田喜代美,鈴木宏昭: "アクションリサーチにおけるカンファレンスとアクションの関係"日本発達心理学会第12回大会プログラム. (印刷中). (2001)
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[Publications] 秋田喜代美: "子どもをはぐくむ授業づくり"岩波書店. 201 (2000)
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[Publications] 秋田喜代美: "「教室におけるアクションリサーチ」やまたようこ 他(編)『カタログ現場心理学-表現の冒険-』"金子書房. 96-103 (2001)