Research Abstract |
本研究の目的は,自律訓練法が自律神経機能の変化に及ぼす影響を検討することである.大学生男女14名が,自律訓練法標準練習の指導を受け,また,統制群として,自律訓練法と同等の弛緩効果を持つと言われている臨床標準瞑想法を練習する条件(17名),何も行わない統制条件(12名)が準備された. 各技法を習得する前後の時期に,心理的ストレス課題として公衆の面前でのスピーチ課題が課され,スピーチ直前に各技法を行うことによって,心理的ストレスによる負荷がどのように異なってくるかについて,(1)生理的指標(心拍数,皮膚伝導水準,収縮期血圧,拡張期血圧),(2)心理的指標(状態不安,社会的望ましさ,スピーチ不安,気分調査票,およびモーズレイ性格検査),(3)行動観察指標(Behavioral Assessment of Speech Anxiety)の3種の指標によって検討を加えた. その結果,各技法の習得後には,(1)自律訓練法群において,スピーチ時の心拍数が他の群よりも減少していること,(2)自律訓練法群,臨床標準瞑想法群では,統制群に比べてスピーチ不安が低減すること,(3)しかし,その低減の度合いは,自律訓練法群よりも臨床標準瞑想法において大きいこと,(4)行動的指標においても,統制群に比べ自律訓練法群,臨床標準瞑想法群で改善が見られること,等の諸点が明らかとなった. 本研究は平成11年度までの継続研究であり,現在,生理的指標に関して,心拍数の変動係数等,自律神経機能の変動を把握することのできる指標について,データを継続解析中である.また,研究の成果は日本自律訓練学会誌である「自律訓練研究」に投稿準備中である.
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