1999 Fiscal Year Annual Research Report
内集団と外集団の意見分布認知に関する社会心理学的研究-集団間葛藤の基礎過程の解明-
Project/Area Number |
10610149
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
唐沢 穣 神戸大学, 文学部, 助教授 (90261031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 恵理子 (工藤 恵理子) 青山学院女子短期大学, 教養学科, 助教授 (30269386)
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Keywords | 合意性推定 / 投影効果 / 内集団・外集団 / 社会的アイデンティティ / 社会的ステレオタイプ / フォールス・コンセンサス効果 |
Research Abstract |
(1)集団間境界意識が内集団への意見投影に及ぼす影響 複数のカテゴリー分けが交絡する「交差カテゴリー」を用いて、内・外集団間の境界に関する認知が、内集団に対するな意見分布推定に影響を及ぼす過程を、大学のあるクラブに属する学生を被験者とする実験により検討した。部分的に内団両方の性質を備える集団(「大学は同じだが異なるクラブ」と「大学は異なるが同じ種類のクラブ」)および完全内集団(「同じ大学の同じクラブ」)について、意見分布を推定させた。「大学」「クラブ」いずれかの違いを強調した文章を与えるこって、どの集団が「外集団」として顕現化するかを操作し、内集団投影効果がいずれの外集団と比較して生ずるかを調べ また、短期大学性を被験者とした実験によって、上記と同様の、文脈の違いによる「外集団」の顕在化が、分布推定の断時間にどのように反映するかを、反応時間測度を用いた実験により検討した。 (2)内集団投影効果に関する、異なる理論的説明の比較検討 日本人の被験者に、日本国民およびアメリカ合衆国民の間に、愛国心や国家主義といった国民意識がどのように分布しかを推定させる実験を行った。結果は、単に内集団に対する愛着(愛国心)が判断対象となる場合、認知的斉合性理論の一致する効果が生ずるが、外集団に対する内集団の優越(国家主義)に関する判断では、社会的アイデンティティー理論集団間の社会的比較過程が強く関与することを示す結果を得た。以前に投稿して改稿を要求されたBritish Journal of Psychology に再度投稿し、現在審査を受けている。
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