2000 Fiscal Year Annual Research Report
公正をささえる信頼:分配的公正、手続き的公正、および関係性の再構築
Project/Area Number |
10610150
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Research Institution | Kyoto Koka Women's University |
Principal Investigator |
竹西 正典 光華女子大学, 文学部, 助教授 (60216926)
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Keywords | 手続き的公正 / 分配的公正 / 関係性 / 統制可能性 / 意図の信頼 / 能力の信頼 |
Research Abstract |
公正判断や内閣評価に影響する要因とそれらの相対的重要性を検討するために、京都市民を対象として2回にわたり調査を実施した。その結果、両調査で一貫する安定した結果が得られた。手続きの公正判断と結果の公正判断の双方において、関係性が統制可能性より重要であること、さらに、信頼性・尊重・中立性からなる関係性要因の中では、中立性が最重要であることが明らかになった。関係性要因の1つである信頼性概念を、新たに、意図の信頼と能力の信頼に分けて検討したところ、双方とも公正判断に影響していた。このことは、今後の公正研究において、関係性要因に能力の信頼を加えて研究していくことの必要性を示唆している。内閣評価においては、手続きの公正と結果の公正は共に重要であるが、相対的重要性は判断水準によることが、今回新たに明らかにされた。すなわち、全般的水準では手続きの公正の方が結果の公正より重要であるが、逆に、個別的水準では結果の公正の方が手続きの公正より重要であった。同一視は、公正判断と内閣評価に影響していた。同一視の程度で3分割して分析したところ、中程度に国と同一視している市民は、統制可能性に基づいて公正判断をし、内閣評価で結果の公正より手続きの公正を重視していた。これは、集団内での自らの地位に敏感であることを反映していると推察される。これに対して、高く国と同一視している市民は、内閣評価で結果の公正を手続きの公正より重視していた。
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