1998 Fiscal Year Annual Research Report
リサイクル行動の計量社会学的研究-合理的選択理論を基礎として-
Project/Area Number |
10610159
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
海野 道郎 東北大学, 文学部, 教授 (90016676)
|
Keywords | 環境配慮行動 / リサイクル / 企業 / 行政 / 市民団体 / 個人 / ネットワーク / グリーン購入 |
Research Abstract |
再生可能な資源を収集し、再生し、再利用するというリサイクルのプロセスに関ってくる行為主体として、企業や行政、市民団体、個人などがある。本年度は、企業と行政におけるリサイクル行動を含めた環境配慮行動の取り組みに関して既存の調査を分析し、さらに、リサイクルを行っている市民団体の活動の資料を収集した。 1995年度に我々が宮城県との協力で行った企業調査では、リサイクルを実行していない企業は、実行している企業と比較すると、環境配慮行動に適切に対応しなかった際に企業が受けるダメージを低く見積もる傾向があり、また、社会的要請を重視しない傾向にあることが明らかになった。これらの傾向から、今後、企業間、および、企業-消費者間のネットワークにおいて、ダメージ等に対する認識を強めるような制度を作ることで、企業のリサイクル活動が促進することが示される。さらに、1998年9月に、東北地方の自治体と事業所におけるグリーン購入の現状を把握することを主な目的とした「東北地方の団体におけるグリーン購入に関する調査」に我々が企画・協力し、調査を行った。その分析では、企業や自治体の環境配慮行動は、当該組織が行なっている社会的交換の直接的相手方(消費者、取引先、議員、市民運動)と同種の組識(同業者、他の自治体)の動向に影響を受けることが明らかになった。 これらの分析から、個人の環境問題に対する対応や働きかけが企業や行政の行動に強く影響を与えていることが明らかになった。それでは、その個人のリサイクル行動の実行のメカニズムはいかなるものなのか。1993年に我々が仙台市で行った調査では、行動に関する質問項目がなく、意識分析にとどまっていたので、実際の行動と意識の関連を分析する調査を行う準備をするのが今後の課題である。
|