1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610162
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
今野 裕昭 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (80133916)
|
Keywords | 災害 / 阪神・淡路大震災 / 被災者 / 生活再建 / 地域社会 |
Research Abstract |
1.平成7年1月の阪神大震災で、神戸市長田区真野地区では、地区西約2,700戸中、約600戸が全壊および修理不能になった。同年6月の自治会長の調査では自宅にいたものが1,678世帯、避難所にいるもの75世帯、地区外に出たもの632世帯、同10月の国勢調査結果を勘案すると10月までにはこのうち125世帯が真野地区に戻り、582世帯が地区外に出たままという形で、急激な社会移動を経験していた。2.真野地区では小学校はじめ14カ所に避難所が置かれたが、地元住民による災害対策本部が作成した避難所避難者の名簿を整理した結果,避難所の避難者について次のような知見が得られた。(1)当初の避難者には老人の一人暮らし、老夫婦のみ、母子家庭のものが圧倒的に多く、被害がインナーシティに滞留する社会的弱者に集中したことを裏付けている。(2)避難所解消時に最後まで残ったのは、世帯主が40歳代50歳代の家族が多く、中学生以下の子どももかなり残る結果になっている。 3.平成7年12月の真野への住み戻り意向アンケート調査の再分析のなかからは、生活再建の面から言ってもっとも深刻なのが、避難所から仮設住宅に入り、その後復興住宅に移転しつつある人たちで、ほとんどが高齢の無職で年金とか仕送りでの生活者であるという知見が得られている。4.地元住民による被災住民への支援活動は、平成9年5月頃から地区外に出たものへの関心が徐々に薄れ、新たに復興住宅に入ってくる人たちを対象に高齢者福祉へと焦点が移った。地区内に一層のジェントリフィケーションが生じているといえるが,他方、地区を出たものの所在を小地域サイドから把握することはもはや不可能な段階となっており、その生活再建を量的に追うことはできなくなっている。5.被災住民の生活再建パターンの量的な把握は無理なので、生活再建パターン別の典型的な該当者への面接調査に集中し、質的な事例分析をさらに継続する。
|
Research Products
(1 results)