1999 Fiscal Year Annual Research Report
阪神大震災の文明論的意義-都市神戸における「近代の終震」の実証
Project/Area Number |
10610172
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岩崎 信彦 神戸大学, 大学部, 教授 (20086052)
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Keywords | 阪神・淡路大震災 / 災害復興 / まちづくり / 被災生活 / 災害記憶 |
Research Abstract |
今年度の研究は主に2つのテーマについて行われた。 一つは、震災直後よりパネル・サーベイを行ってきた神戸市長田区鷹取東地区の5年目の復興状況を調査研究するテーマである。復興土地区画整理事業として行われたこの地区のまちづくり復興は、仮換地指定率が100%に達し、被災地の事業地区のなかで最も早い進展を示している。しかし、そこに到達するまでの経緯は困難に満ちたものであり、その問題点を総括し、復興土地区画整理事業がいかにあるべきかの提案を行うことは重要な課題であった。それを行ったのが論文「復興『まち壊し』土地区画整理事業は今回で終わりに」である。また、これを考察するにあたって、この地区の被災住民の生活と住宅の復興状況を詳細に把握する必要があり、これを行ったのが研究協力者徳田剛「被災住民の生活再建は進んでいるか」である。 このテーマの研究から、この国と地方自治体の災害復興対策の水準がきわめて低いものであり、今後、阪神大震災におけるこれらの教訓を生かして根本的な検討を行わなければならないことが、指摘される。 二つは、震災後、基本的復旧を終えた段階で、震災の記憶を遺族、被災者、市民がどのように保持していくか、また、その意味を考察するテーマである。研究協力者今井信雄の論文「さまざまな『震災モニュメント』が意味するもの」はそれを明らかにする一歩をしるした成果である。関東大震災とは非常に異なった社会的文化状況のなかで、各地に建立された100を越えるモニュメントの特質を分類的に考察したものである。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 岩崎信彦: "被災者の意識の展開と構造"阪神・淡路大震災の社会学2 避難生活の社会学. 192-206 (1999)
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[Publications] 岩崎信彦: "復興「まち壊し」土地区画整理事業は今回で終りに"阪神大震災研究4 大震災5年目の歳月. 224-252 (1999)
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[Publications] 徳田剛: "被災住民の生活再建は進んでいるか"阪神大震災研究4 大震災5年目の歳月. 165-199 (1999)
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[Publications] 今井信雄: "さまざまな「震災モニュメント」が意味するもの"阪神大震災研究4 大震災5年目の歳月. 298-312 (1999)