2000 Fiscal Year Annual Research Report
阪神大震災の文明論的意義-都市神戸における「近代の終焉」の実証
Project/Area Number |
10610172
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岩崎 信彦 神戸大学, 文学部, 教授 (20086052)
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Keywords | 阪神大震災 / 都市災害 / 震災復興 / まちづくり / 文明論 |
Research Abstract |
1 激甚被災地の神戸市長田区鷹取東地区の復興事業が終盤を迎え、この6年間のまちづくり協議会の活動経過と問題点について会長に総括的なインタビューを行った。また、会長のライフヒストリーの聞き取りを行い、困難な役職を遂行し得た背景を考察した。そこからは、「下町」に生きる小実業家の前進的な生き方が明らかとなり、その成功が震災後のまちづくりへの献身的な貢献を支える物質的、精神的、社会的基盤となったことが明らかとなった。 2 県外避難者の実状について、研究協力者柴田和子氏らとインタビュー調査を行い、生活再建の問題状況を分析した。そこからは、県外の親族を頼って避難し、当初としては有利な条件を得た者が、その後の復興過程で行政施策から落ちこぼれ苦難の状況に陥ることが明らかになった。 3 復興公営住宅の住民の生活状況について、研究協力者伊藤亜都子氏らと調査を進めている。 4 震災ボランティアがその後どのような活動を継続、発展し、変化を遂げているかを研究協力者西山志保氏と調査を進めている。そして、NPO,NGO、市民活動への展開の文明論的意義を考察している。 5 被災した神戸という都市がどのような歴史的展開を明治初頭より遂げてきたのかを、都市生態学的な視角を入れながら考察している。神戸が、国際港湾都市として明治以降歩んできた歴史に特殊性があり、そのことが地震による被災のあり方にも影響を与えていることを検証している。また、神戸の特殊性のみに焦点を当てるのではなく、現代都市が一般的に持つ大災害に対する脆弱性の問題を文明論的に考察している。
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