2001 Fiscal Year Annual Research Report
農村女性の「個」の確立と地域農業ネットワークの形成
Project/Area Number |
10610175
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
永野 由紀子 山形大学, 人文学部, 助教授 (30237549)
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Keywords | イエ / 家父長制 / 農村女性 / 農村家族 / 小農 / 家族農業経営 / フィールドワーク / 庄内地方 |
Research Abstract |
本年度は、最終年度にあたるため、これまでの調査結果を整理して、研究成果を以下のようにまとめた。 本研究では、農業専従の女性に焦点をしぼり、女性が農業経営や地域の意思決定にどの程度関与しているかを把握する調査を計画した。 →その結果、夫婦二人で農業に専従する稲作に施設園芸や野菜作や果樹作や畜産を組み合わせた複合経営農家が浮かび上がってきた。 1.世代間分業:このような専業的農家においては、親世代の女性が家事労働を引き受け、体力のある若い世代の夫婦二人で農業を担当するという農業労働と家事労働の世代間分業が行われている。このような分業において、家長である親世代の父親が死ぬまで家の財布を握っているというかつてのような子世代の無権利状態は見られず、現世代の男性の農業者年金の受給に伴い、経営委譲がスムーズにいっている実態が明らかになった。 2.夫婦間分業:夫婦間の農業労働の分担においても、農業経営の経営責任者は夫である、女性が意思決定から排除されているわけではなく、日常のコミュニケーションをとおして女性の意思がかなり反映されている実態が明らかにされた。 →今日では、親世代の男性である家長による労働の統制や家計の一元的管理が見られず、それゆえ、今日の農家を「家父長的」性格において捉えることはできない。
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Research Products
(1 results)