1998 Fiscal Year Annual Research Report
日本の福祉国家類型の特質-家族福祉の国際比較を中心に-
Project/Area Number |
10610179
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
イト ペング 北星学園大学, 社会福祉学部, 講師 (30285506)
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Keywords | 家族福祉 / 家族政策 / ジェンダー / 比較福祉政策 / 福祉国家 / 福祉レジーム |
Research Abstract |
本年度は主にデータと文献・情報の収集と整理作業に焦点を置いた。特に、合理性を計るため、日本の家族福祉と家族政策に集中した。日本の戦後における家族福祉・家族政策の展開を制度的・政策的な枠組みから検討するのに、以下の3つの研究作業を行った。(1)日本の戦後における家族形態、特に女性の労働、家族の小規模化、高齢少子化に関するデータとこれらの課題に関する報告書、研究、調査文献の整理。(2)データや文献を通じて戦後の日本と諸外国における家族福祉・家族政策の共通点と異点の検討。(3)以上の分析に基づいた、日本の家族福祉・家族政策の特徴と特殊性、そしてその要因の理解。 以上の研究作業の結果、特に目立ったのは日本とEU諸外国における家族福祉・家族政策において共通点が予想以上に多かったということである。これは、文化的な違いを超えた、ジェンダー的な要因が社会福祉・社会政策の理解に重要な位置を示していることを表わしていると考えられる。当分析で明らかになったのは、家族福祉・家族政策の比較分析を行う際、その共通点と異点に関する(1)文化的要因と(2)ジェンダー要因を分離し、明確にしなければならないということである。したがって、来年度の研究ではこの2つの要因を意識しながらオランダを中心としたEU家族福祉・家族政策と日本との比較を進める計画である。
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