1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610189
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
小倉 充夫 津田塾大学, 学芸学部・国際関係学科, 教授 (40055322)
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Keywords | 南アフリカ / 南部アフリカ / 国際労働移動 / アパルトヘイト崩壊 / 冷戦終焉 / 構造調整 / 民主化 / 地域経済圏 |
Research Abstract |
1980年代末から90年代にかけての南部アフリカ地域における変化(民主化、内戦の終結、アパルトヘイトの崩壊)はこの地域の発展に希望をもたらすものであった。しかし変化の影響や方向性はさまざまであることが判明した。南アフリ力の民主主義は発展をとげているが、黒人を中心とした高い失業率、犯罪など社会問題は深刻化している。不法移民などの国際移動の活発化も一層問題を複雑化させている。しかしながら、南アフリカがいかに問題をかかえていようとも、南アフリカの存在、南アフリカとの関係をぬきにこの地域の動向は考えられないようにますますなっている。 アパルトヘイト時代は阻害される傾向のあったこの地域の国境を越えた諸関係、とりわけ人の国際移動は受入れ側の南アフリカにとってばかりでなく、送り出しの近隣諸国にとっても影響が大きい。地域的な協力がどのように展開するか、そしてそれを人々がどう受けとめるかにも影響する。民主化については、選挙が操り返されることにより確立しつつあるともいえるが、政権政党の巨大化や政権交代のなさなど問題点も明らかになりつつある。国内の人の移動については、モザンビークでは都市化による社会問題はこれからの課題となるだろうという段階であり、南アフリカでは都市での失業や犯罪が深刻化している。ザンビアでは経済危機を克服するべく実施された構造調整にもかかわらず、ないしそれ故に、教育・保健衛生水準の低下がみられ、都市住民の生活は厳しくなっている。このため都市人口の増加が鈍化し、移動者の農村への帰還が顕著になっていることが判明した。
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Research Products
(2 results)