1998 Fiscal Year Annual Research Report
在日日系ブラジル人と地域住民の関係の実態とその形成阻害要因に関する社会学的研究
Project/Area Number |
10610195
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
渡辺 雅子 明治学院大学, 社会学部, 教授 (50130852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 雅典 秋田桂城短期大学, 地域社会学科, 助教授 (90289752)
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Keywords | 日系ブラジル人 / デカセギ / 外国人労働者 / ブラジル / 日系人 |
Research Abstract |
ブラジルからの日系人のデカセギが始まって10年余を経過し、現在では23万人のブラジル人が滞日している。本年度は不況の深刻化が彼らの生活に与えた影響と、それにもかかわらず滞在が長期化している実態をふまえて調査を実施した。ブラジル人の雇用の特徴として人材斡旋会社への所属による職場と住居が連動していることがあるが、不況下で解雇即住居の喪失とならないよう、公営住宅への入居者が増加している。これは長期化要因と家族滞在による子供の教育問題も関係している。集住地では行政のポルトガル語対応や生活相談などの整備、また国際交流と銘打ったイベントが行われ、一定の成果をあげ、またエスニック・コミュニティ(互助というよりビジネスを通しての関係。結束は堅くない)が形成されている。それは彼らの適応にとって利点はあるが、日本社会と接触せずに生活することができ、むしろブラジル人と日本人との分離を生みだし、現段階ではこのコミュニティが日本社会との橋渡し機能を担うまでには至っていない。またブラジル人の人間関係のとり結び方自体が日本文化とは異なり、「場」によって構成されるのではなく、個人的なネットワークによって拡大していく性質をもつので、職場、近隣、学校などの共通の「場」が人間関係形成にとって必ずしも十全に機能しない。また日本人側の外国人それもデカセギに来日した外国人に対する偏見も指摘できる。基本的に日本社会との架け橋になるブラジル人・日本人のリーダーがでてくるか否かにかかっている。日本人との関係では言語の壁が大きいが、不況に入り、職場の確保、長期化への対応から近年はブラジル人側の日本語熱が高まっているので、言語の壁による日本人との関係の阻害要因はいくぶん解消される可能性がある。
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