1999 Fiscal Year Annual Research Report
在日日系ブラジル人と地域住民の関係の実態とその形成・阻害要因に関する社会学的研究
Project/Area Number |
10610195
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
渡辺 雅子 明治学院大学, 社会学部, 教授 (50130852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 雅典 秋田桂域短期大学, 地域社会学科, 助教授 (90289752)
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Keywords | デカセギ / 日系ブラジル人 / 外国人労働者 / 日系人 / ブラジル / 共生 |
Research Abstract |
日本人地域住民とブラジル人との関係は疎遠という言葉につきる。その要因としては、(1)言語の壁、(2)文化の壁、(3)居住地域の棲み分け、(4)ブラジル人の集住地におけるブラジル人同士のネットワークの中で生活可能な環境の整備、(5)日本人のブラジル人に対する偏見の存在がある。 住民は日本人とブラジル人の棲み分けを生む大きな要因である。外国人は身元保証人の問題で、個人的に住居を確保することが難しく、人材派遣会社借り上げのアパートにブラジル人が集まって居住し、それも空間的に隔離されているような場所が多い。解雇即住民喪失の自衛策ということもあって、ブラジル人が公営住宅に入居することが顕著だが、ブラジル人が多数居住することで、騒々しさ、ゴミ処理ほか問題が発生し、個人的な交流を欠くために、集団として群がちなブラジル人に対するいわれのない恐怖心も発生している。行政主導のイベントは開催されているが、単発的におわり、さして相互理解に向けての効果をもたらしているとはいえず、共生にはほどとおい状況である。 学校では、日本語を習得し、日本文化に慣れたブラジル人の子供がブラジル人であることを拒否して過剰適応したり、逆に学校に不適応をおこすなど子供の将来にわたる大きな問題が生じている。小学校レベルでは子供同士のつきあいはあるが、中学校以降は受験をひかえて友人関係の形成は難しい。ブラジル人の親は例外を除いて教育熱心とはいえず、日本人との親の接点はない。 なお、ブラジルでは経済・治安の悪化から、デカセギはやむ様子はなく、反復デカセギやデカセギ期間の長期化は顕著で、デカセギが就労の一形態として組み込まれたかのようである。
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Research Products
(1 results)