1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610209
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
尾嶋 史章 大阪経済大学, 経済学部, 助教授 (30177224)
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Keywords | ジェンダー / 社会的地位 / 女性 / 計量社会学 / ライフスタイル |
Research Abstract |
本研究は女性の社会的地位の構造を、階層意識や性別役割分業意識など多様な社会意識も含めた「ライフスタイルの分化」から明らかにしようとするものである。ライフスタイルという外的な基準を置き、それに対する女性固有の地位の影響を系統的に検討することにより女性の意識や行動に反映される地位の様態を検討することが本研究の目的である。今年度は以下の分析を行った。 (1) 女性の社会進出を職業の面から捉えるために、オイルショック以降の有職率について有配偶者を中心に検討した。その結果、バブル期まではどの年齢層でも順調に有職率が増加する傾向がみられたが、この10年間は逆に低下傾向が明確になった。 (2) その一方で、性別役割分業意識に代表される「平等意識」は、順調に強まっていて、意識と行動のギャップが拡大しており、それに伴って特に働く女性の生活満足度が低下していた。 (3) また女性の社会的地位の基盤となる教育達成の分析を、男女の競合関係から検討した。その結果、女性の教育拡大は人口規模との関係が強く、ベビーブーム以降に増加する傾向が著しい傾向(教育システムの拡大が寄与すること)がみられた。但し第一次ベビーブーム期では短大が男性との競合状態を避けるのに寄与する部分が大きかったことも明らかになっている。第二次ベビーブーム以降の近年は四年制大学でも社会科学系や農学・理学系を中心に女性の進学者の増大が著しいが、もし女性の労働市場が拡大することが加わるならば、男女の教育達成過程における競合関係が生まれ、地位達成過程全般における競合関係が生まれる可能性が窺われた。
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