1999 Fiscal Year Annual Research Report
超高齢化山村における修正拡大家族の機能と地域福祉システム
Project/Area Number |
10610218
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
佐藤 嘉夫 岩手県立大学, 社会福祉学部, 助教授 (20073033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 典子 中部学院大学, 人間福祉学部, 教授 (10142647)
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Keywords | 超高令化山村 / 修正拡大家族 / 他出子 / 福祉システム |
Research Abstract |
高齢者を含む人口の動態分析を行った。この中で、明らかになったことの一つは、出生、死亡など自然増減口の他に、世帯員の町からの転出あるいは転入、世帯の移動などの社会的移動が高い割合で見られることである。高齢者が取り残され堆積して行く中で、このような動きが見られることは驚きであり、山村家族の内実の大きな変化を示唆するものと言える。そして、拡大修正家族の中においては、老親の高齢化の一層の進行と虚弱化によって、老親への地域での援助への需要が強まって行く傾向が見られるが、老親はより強く子供に期待し、他出子はより強く地域に期待すると言った特徴がみられる。 高齢化山村における修正拡大家族の機能は、村に残った老親と他出子との間の、「家」と家作の維持および家事、養育・養護のための双務的援助関係として成り立っており、それは老親の生活の一定の自立と健康を条件としていること、その条件が揺らいで来た時には、多くは、一時的な子世帯への寄留=出ぐらしを経て、他出=呼び寄せられるというプロセスを辿ることになるという仮説は、これまでの調査研究で実証できた。そして、老親がむらに踏みとどまる条件には、地域への依存と地域からの支えがあり、老親が村外に他出するに至るのにはもう少し複雑なプロセスがあることがわかった。また、この家族変動のプロセスを通して外部化される修正拡大家族の福祉ニーズを満たすのは、公的地域福祉システムとそれを支えるサブシステムとして地域=近隣による援助関係があり、この正副の二つの福祉システムは、地域住民と修正拡大家族の中の老親と他出子の、福祉ニーズをめぐる規範意識の対抗関係に強く規定されているという仮説も証明された。
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