1999 Fiscal Year Annual Research Report
日本における特別養護老人ホームの終末ケアに関する実証的研究
Project/Area Number |
10610219
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Research Institution | University of Shizuoka,Shizuoka College |
Principal Investigator |
佐々木 隆志 静岡県立大学短期大学部, 助教授 (50178654)
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Keywords | 終末ケア / 特別養護老人ホーム / 終末ケアの動向 / 施設処遇 / 保健・医療・福祉の連携 |
Research Abstract |
[研究目的]全国の特別養護老人ホーム900施設を対象に施設処遇のなかで終末ケアがどのように行われているか実態調査をした。[結果と考察]終末ケアに対する施設の考え方として、(1)終末ケアについて積極的に取り組む施設、(2)終末ケアは医療の範囲であるとし福祉と医療の連携を強調する施設、(3)終末ケアは医療の範囲であり、臨終が近づいた時、病院でケアを行うべきだとする施設である。施設では、介護主導型の終末ケアと、医療主導型の終末ケアが考えられた。前者は特別養護老人ホームの嘱託医師と連携し施設で介護の延長線上に終末ケアを位置づけ施設で最後を迎える取り組みである。後者の終末ケアは特別養護老人ホームは生活施設であり、終末ケアは医療的ニーズが高く、施設内でのケアは難しく、医療機関で終末を迎えるとする考え方である。本研究から、特養における終末ケアの実態を整理すると、処遇上の課題として「治療をしても治る見込みがあるか、痛み苦しみを除去できるか、出血(上下)が多量にあった場合の対応、受け入れ病院の可能性の有無の判断、嘱託医師の考え、本人の意思、家族の考え」等によりその実施状況は異なる。終末期では、医療ニーズと介護ニーズが介在しており、介護職が医療行為を行っている施設が数多くみられた。特養における終末ケアは、施設内の職種間でコンセンサスが得られていることが重要である。施設全般における介護は、入浴、排泄等の介護の延長線上に終末介護があるとする考えが重要である。今後の課題として、特養が介護保険施設として新たなスタートをするとき、サービスの質の評価項目(終末ケア項目)の検討を行いたい。
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[Publications] 佐々木隆志: "特別養護老人ホームにおける処遇評価に関する研究"静岡県立大学短期大学部研究紀要. 第13-2号. 229-238 (2000)
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[Publications] Takashi Sasaki: "Study of General Issues Involved in Special Nursing Homes for the Elderly in Japan"JAPANESE JOURNAL OF SOCIAL SERVICES. NUMBER 1. (2000)
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[Publications] 佐々木隆志: "日本における特別養護老人ホームの終末ケアに関する実証的研究"日本老年社会科学会 第42回大会報告要旨集. 第42. (2000)
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[Publications] 佐々木隆志: "静岡県内における特別養護老人ホームの終末ケアに関する実証的研究"『特別研究報告書(平成9・10年度)』静岡県立大学短期大学部. 75-78 (1999)
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[Publications] Takashi Sasaki: "An Investigative Study of End-stage Care In Japan : From the perspective of International Comparison"中央法規出版(東京). 213 (1999)
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[Publications] 杉本敏夫 編: "高齢者福祉論"ミネルヴァ書房(京都). 261 (1999)