基礎教育普遍化プロジェクトにおける非政府機関の機能に関する研究

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10610235
• Research Institution: Tokyo Gakugei University
• Principal Investigator: 渋谷 英章 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (50183398)
• Keywords: 基礎教育 / 非政府機関 / NGO / インド / 国際教育協力

Research Abstract

1インド・ラジャスタン州における政治変動と教育に関する非政府機関の機能
昨年度分析を行ったラジャスタン州の非政府機関が、インド政府の核実験実施に起因する海外援助機関からの資金援助の停止、さらには州政府の政権交代という新たな事態により、本年度初めから危機的な状況に至った。この政治変動が非政府機関の活動に与えたインパクトを分析し、海外機関への資金の依存と政権政党との過度の緊密的関係が非政府機関のそのものの弱点となることを明らかにし、さらに、州レベルの非政府機関にあっては調査研究や研修などの専門的機能が、またフィールドレベルの非政府機関では対象とするコミュニティへのコミットメントが、自己の存在を保証する重要な機能であることを検証した。この分析に関しては、"SOUTH ASIAN CONFERENCE ON EDUCATION"(1999年11月14日〜18日・デリー大学で開催)において研究発表を行い、インドの教育学研究者との研究交流を行った。その過程で、非政府機関の教育活動、海外教育援助、教育への市場原理の導入と分権化などが、南アジア諸国の教育政策において焦点となっていることも明らかとなった。
2国際機関および政府と非政府機関とのパートナーシップ(インドを事例として)
インドにおけるこれらの機関等の活動について文献資料の分析と訪問調査等を実施し、基礎教育普遍化プロジェクトにおいて非政府機関は重要な機能を果たしつつも、その機関単独でのプロジェクトでは効果も薄く、国際機関や連邦政府、州政府との共同事業や相互補完によるパートナーシップが必要不可欠であることが明らかとなった。ただし、非政府機関自体の独立性、自律性が保障され、これらが対等な関係にあるパートナーシップが築かれなければならないことが指摘される。