2001 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ近代社会の学区編成にともなう文化変容と社会的規律化の実証的研究
Project/Area Number |
10610240
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
増井 三夫 上越教育大学, 学校教育学部, 副学長 (30099387)
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Keywords | ラント議会 provincial diet / 公開 opening to the public / 請願 petition / 教区理事会 parish-board / 学区理事会 school district-board |
Research Abstract |
最終年度は、ヴェストファーレン州ラント議会議事録を読み、以下の4点にっいて丹念な考察をおこなった。そこで明らかとなった内容は以下の如くである。 (1)ラント議会の特徴 議会では、制限的な公開が主流を占めていた。議会を特徴づけるものは、その審議テーマ数の反映として、議員を介した共同体(教区・学区を含む)からの請願が圧倒的多数を占めていたことである。共同体はラント議会を交渉によってその公益性を推進しようとしたとみたほうがよい。共同体は、ヴェストファーレン州ラント議会おいては交渉する存在であり、プロイセン州ランド議会にあっては論議する存在であった、といえよう。 (2)教区・学区の形態 ヴェストファーレン州では、教区・学区の公課を国家の税制システムを導入するというコンセプトのもとで実施する立場をとっている。そして新規事業に対して議会裁量経費に助成を申請する。議会は教区理事会または学区理事会に共同体理事会と同等の請願資格を付与していた。 (3)国家行政との関係 議会では、確かに、国家監督宗務行政体制化に対して教区・学区理事会の自律性を強く主張している。だが、その一方で、教区=学区に国家の税制システムを導入することに躊躇いは認められなかった。 (4)住民との関係 議会では、offentlichとprivatlichの用語検索から示したように、行政による規制によって、住民一人一人の日常性における公的領域=意識と私的領域=意識を峻別する-住民がその生活を頻繁に不愉快にしかつ迷惑をかける行為に対して法による規制を求めることは正等とする-論議が主流を占めた。
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