2000 Fiscal Year Annual Research Report
米国進歩主義教育期と現代における「公共性志向の学校改革」に関する研究
Project/Area Number |
10610246
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
早川 操 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (50183562)
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Keywords | 公共的想像力の育成 / 知性的ポリティクス / (自己枠を越える)反省的関心 / 多焦点的自己 / 越境のリテラシー / 無限の多角形としての自己 / 教育における反省的転回 / ケアリング文化 |
Research Abstract |
平成12年度は、アメリカ進歩主義教育期における公共的関心の形成についての理論的展開を検討することによって、その理論的枠組が現代における教育改革と公共性の育成に関する論争にどのような影響を与えているかを究明した。 今年度の具体的な研究成果としては、第一に、進歩主義教育期におけるジョン・デューイとラインホールド・ニーバーによって繰り広げられた「公共的関心」の形成をめぐる論争を考察した。これによって、公衆のもつ社会的知性を信頼するデューイと、参加民主主義による公共的関心の形成は非現実的であり幻想であると批判するニーバーの対立は、現在の教育改革論議にも継承されていることを明らかにした。 第二に、ポストモダンの「多元的重層的アイデンティティ」形成の理論が提起する課題を考察することによって、モダン・ポストモダン・伝統というパラロジカル(重層言説的)な理論的展開に基づいて、新たな人間形成の理論を構築する可能性を検討した。 第三に、わが国で現在進行している教育改革の背後にある理論的課題を掘り下げることにより、多様な関心・視座・価値の構築に関与できる「公共的想像力」育成のための教授学的方法やその具体化のための課題について検討した。
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[Publications] 早川操: "ポストモダン時代における人間形成理論の展望と現代教育改革の課題-『自己の境界枠を越える行為』における反省・制作の働きを探る-"教育哲学研究. 第81号. 11-16 (2000)
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[Publications] Misao Hayakawa: "A Study On Future Possibilities of Teacher Education in Japan."名古屋大学教育学部紀要(教育学). 第47巻1号. 15-30 (2000)
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[Publications] 早川操: "『公共的想像力』の育成からみた現代教育理論のパラダイム転換-教育の多様化は新たな人間形成の視座を創れるか-"情況. 4月号. 1-22 (2001)
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[Publications] 早川操: "社会的知性の役割をめぐるデューイーニーバー論争についての考察"日本デューイ学会紀要. 第42号. 101-107 (2001)