1998 Fiscal Year Annual Research Report
教育委員会の「活性化」を規定する教育長のリーダーシップ特性要因の分析
Project/Area Number |
10610261
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河野 和清 広島大学, 教育学部, 助教授 (30116579)
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Keywords | 教育長のリーダーシップ / 革新過程 / 活性化 |
Research Abstract |
1. 本研究は、教育長のリーダーシップ行動に焦点を当てながら、教育委員会の「活性化」がどのように図られているか、その活性化の過程とダイナミズムを、フィールド調査を通しながら検討した。 2. その結果、次のようなことが明らかにされた。 (1) 教育委員会の「活性化」の問題を捉える場合、新しい教育情報が効果的に生み出され、活用され、普及していく、いわばイノベーション過程全体に教育長が実際にどのように係わっているかを詳細に解明する必要がある。 (2) 教育委員会の「活性化」を促すためには、教育委員会の政策立案能力を抜本的に高める必要がある。そのためには、教育長の教育ビジョン設定能力と政策立案能力の向上とそのための研修の充実が極めて重要となる。また、彼らをサポートする幹部事務局職員の資質能力の向上も強く求められる。 (3) 新しい教育政策を効果的に実施するためには、地方自治体の長や議会に対する対応も重要となってくる。教育長にはかなり強力な政治的リーダーシップの発揮が求められていることも看過すべきではない。 (4) なお、今後、教育委員会の「活性化」と教育長のリーダーシップやその他の要因がどうのような影響を与えるかを分析するにあたっては、活性化の尺度として、新しい単独事業、会議の活発さの度合、事務局職員のモラールなどを、また、独立変数としては、財政力指数、教育委員会の規模、地方議会の政治的安定度、住民の教育に対する関心度、首長の教育に対する理解度などを活用することが望ましい。 3. 今後は、本研究で得た知見を一般化できるかどうかを確かめるために、約700の市町村教育委員会を対象とした実証的研究を実施してみる必要がある。なお、本研究成果は、平成11年度中国四国教育学会で発表する予定である。
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