1999 Fiscal Year Annual Research Report
ジョン・デューイの教育学構想と実験学校の教育実践に関する研究
Project/Area Number |
10610274
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
米澤 正雄 実践女子大学, 文学部, 教授 (20175003)
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Keywords | ジョン・デューイ / Laboratory School / 教育学 / アルビオン・W・スモール / "a laboratory guide" / シカゴ社会学派 / ジェーン・アダムズ / Hull-House |
Research Abstract |
今年度は、シカゴ大学時代のデューイの教育学構想に大きな影響を与えたA.W.スモールとJ.アダムズについて、それぞれ、学会発表を行い、論文を著した。(今年度リファーを受ける計画であったが次年度に回した。) まず、A.W.スモールについて、教育史学会第43回大会(1999年10月3日、於、北海道大学学術交流会館)において、「アルビオン・W・スモールの社会学研究・社会学教育の検討」と題し、次の趣旨の発表をおこなった。すなわち、スモールは、都市シカゴを「社会の実験室」とみなすシカゴ社会学派の礎を築いたこと。その社会学研究・教育において、セツルメント(アダムズのハル・ハウスやシカゴ大学セツルメントなど)を「社会観察の拠点」と位置づけて、大学院学生・学部学生の社会学研究・教育がなされたこと。スモールのこのような社会学観は、『社会研究入門』(1894年、同僚G.E.ビンセントとの共著、別名「ラボラトリー・ガイド」)に示されていること。彼の社会学観は、この著作における「人類福祉の哲学」から『一般社会学』(1905年)における「社会過程の科学」へと進展をみせるが、「社会観察の拠点」としてのセツルメントの位置づけには、変更は認められないこと、である。 次に、アダムズについては、「ジェーン・アダムズにおけるセツルメント事業従事の思想的根拠の解明-トルストイ思想(特に『What to Do?』)の受容に焦点をあてて-」(実践女子大学文学部紀要第42集掲載予定)を著した。これは、アダムズのセツルメント事業従事の前提にある彼女の自主認識(労働する民衆から遮断されたまま「大学教育を受けた著者」)にトルストイの『What to Do?』(英訳、1887年)の著しい影響が認められることを示した論文である。 現在、筆者の研究成果の英訳を依頼中であり、アメリカ合衆国の研究者のリファーを受けるべく鋭意準備中である。
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Research Products
(1 results)