2001 Fiscal Year Annual Research Report
ジョン・デューイの教育学構想と実験学校の教育実践に関する研究
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10610274
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Research Institution | TOYO University |
Principal Investigator |
米澤 正雄 東洋大学, 文学部, 教授 (20175003)
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Keywords | ジョン・デューイ / アルビオン・W・スモール / ジェーン・アダムズ / 実験(室)学校 / シカゴ社会学 / ハル・ハウス / 科学としての教育学 / 都市社会(学的)調査 |
Research Abstract |
本年度は、シカゴ大学時代のジョン・デューイの教育学構想-教育学の「実験室」の必要性-の発想の源として、デューイより2年前(1892年)にシカゴ大学に赴任した社会学科主任教授、アルビオン・W・スモール(1854-1926年)による社会学研究・社会学教育論および創設当初のシカゴ社会学派による社会(学的)調査-ともに、セツルメントを「社会観察の拠点」とする-を解明した。 デューイは、1896年にシカゴ大学附属小学校を創設した。そして、「オキュペーション」と呼ばれる衣(糸つむぎ、機織り)・食(料理)・住(木工)の作業を、社会生活を成り立たせる典型的教材として導入し、その科学的、歴史的、芸術的意味を子どもたちに把握させようと試みた。このシカゴ大学附属小学校は「実験室学校」(Laboratory School)と呼ばれたが、従来、この名称をデューイに示唆したのは、ヤング女史(Ella Flagg Young,1845-1918年。1895年からデューイのゼミナールに参加し、1900年Ph.D.取得後、1900-1904年シカゴ大学教育学部教授を勤め、「実験室学校」の運営に関与。)であると言われてきた。(Cf.G.Dykhuizen,The Life and Mind of John Dewey,Southern Illinois University Press,1973,p.348 n57.)拙稿「アルビオン・W・スモールの社会学研究・社会学教育と『社会観察の拠点』としてのセツルメント-「a"laboratory guide"」としての『社会研究入門』から『一般社会学』への社会学観の展開と創設期シカゴ社会学派の社会(学的)調査-」(東洋大学文学部紀要第55集、教育学科編XXVII、2002年3月、203-243頁)は、従来のこの定説をくつがえし、次のことを示した。デューイに教育学の「実験室」の必要性を提起したのは、シカゴ大学において都市シカゴを「社会的実験室」とみなして当初から社会学研究・教育を行ったスモール(特に1894年の『社会研究入門』)であること、である。
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