2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610280
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Research Institution | Wako University |
Principal Investigator |
小林 文人 和光大学, 人間関係学部, 教授 (20014681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末本 誠 神戸大学, 発達科学部, 教授 (80162840)
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Keywords | 沖縄 / 社会教育 / 地域史 / 集落公民館 / USCAR / TOAFAEC |
Research Abstract |
戦後日本社会教育のなかで、沖縄の社会教育は幾つかの重要な特徴をもっている。戦後27年間にわたってアメリカ占領政策の拘束をうけてきたこと、1972年より日本・社会教育法の適用をうけいま29年間が経過したこと、そのなかでなお琉球諸島独自の地域的文化的な多様性と集落を地域基盤としていること、である。本研究は、この地域的な多様性と基盤性を地域史的に明らかにすることを目的にしている。もちろん、なお多くの課題を残しているが、次のような諸点において見るべき成果があったのではないかと考える。 すなわち、(1)名護市(辺野古区、屋部区等)、金武町(並里区)、読谷村(楚辺区等)、那覇市(石嶺町)、与那国町(三集落)等をフィールドとする実証的な社会教育地域調査の実施、(2)それらを通して自治体の行政社会教育だけではなく、集落レベルの固有の社会教育史、なかでも集落公民館の独自な役割と集落の文化・自治・共同に内在する社会教育的機能についての解明、(3)沖縄地域史・字(あざ)誌づくりの動向把握と(フランス等の生活史研究の成果を活用しつつ)その方法の探求、(4)アメリカ占領下のアメリカ民政府(USCAR)資料における地域社会教育史料の発掘、(5)とくに名護市屋我地地区における個性的な図書館・博物館づくりの構想、などを挙げることができよう。 これらの社会教育地域史研究から、沖縄の地域・自治体にある程度共通して、いわば沖縄型というべき固有の社会教育・生涯学習の蓄積があり、これらを基礎に地域分権的な独自の施策や計画を具体化していく可能性を見出すことが出来る。 なお3年間の継続研究の成果は、毎年次の報告集にまとめてきたが、あわせて東京・沖縄・東アジア社会教育研究会(TOAFAEC)編「東アジア社会教育研究」に発表してきた。
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