2000 Fiscal Year Annual Research Report
アジア・オセアニア・アフリカ地域における自然とかかわる文化的プラクシスの通文的研究-とくに.自然観と生業活動の関係について
Project/Area Number |
10610299
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
松井 健 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (50109063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小長谷 有紀 国立民族学博物館, 助教授 (30188750)
菅原 和孝 京都大学, 総合人間学部, 教授 (80133685)
篠原 徹 国立歴史民俗博物館, 教授 (80068915)
河合 香吏 静岡大学, 人文学部, 助教授 (50293585)
窪田 幸子 広島大学, 総合科学部, 助教授 (80268507)
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Keywords | 自然 / 文化 / 環境 / 生業 / エコ・コモンズ / 自然観 / アジア・オセアニア / アフリカ |
Research Abstract |
アジア・オセアニア・アフリカにおける人間と自然とのかかわりは、強い文化的特異性をもっている。各地方においては、また、生業様式などによる変異がみられる。自然をどのように利用し、そこでも何を成立させるか、さらに思考の材料とするかは、きわめて文化的問題だということである。この文化的に多様な自然と人間とのかかわりの変異の幅について、長期のフィールドワークにもとづいた成果をもち寄って、互いにつきあわせ、各地方、環境条件、生業様式による特異性を明らかにしようと試みた。この問題に関与的な諸要因の固定についても、くわしく検討するために、研究会を開いて、長時間の集中的なディスカッションをおこなった。 その成果の一部は、榕樹書林より『自然観の人類学』(松井健編著)として刊行されている。代表者と分担者のうち6名が執筆した8編の論文が、収録されている。そこで明らかになったことは、まず、自然の利用といった物理的な側面においてさえ、きわめて大きな文化的、社会的な特異性をもっていることであった。このため、自然資源の領有と利用といった側面への歴史的研究を含めた、より包括的な研究が必要なことが明らかになった。自然観の文化的多様性を踏まえたうえでの、社会的な制度の変遷を読解していくという方途が明らかになったといえる。自然をどのようなものとみなすかという人びとの自然観の問題は、自然環境の保全や自然資源の有効利用といった今後のグローバル・エコ・クライシスにかかわる課題に、いろいろな示唆を投げかけるものと思われる。
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Research Products
(1 results)