2000 Fiscal Year Annual Research Report
戦没者祭祀と祖先観の変容に関する民俗学的研究-新潟県佐渡の墓碑・忠魂碑・護国神社-
Project/Area Number |
10610300
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩本 通弥 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (60192506)
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Keywords | 戦没者慰霊 / 護国神社 / 招魂社 / 遺族会 / 合同慰霊祭 / 社会福祉協議会 / 満州開拓団 / 慰霊 |
Research Abstract |
本年度は最終年度であり、補充的なフィールドワークと史料的な整理を中心に研究を遂行した。前者において主として行なったのは、新潟県佐渡郡の全体的な戦没者祭祀を統括する佐渡護国神社(金井町に設置)、および佐和田町二宮の菖魂社や両津市椎泊の忠魂社のような、より地域的な戦没者慰霊施設の設立過程、また各市町村で現在も社会福祉協議会の主催で続けられている合同慰霊祭と、各集落レベルで執行されている各種慰霊行事、これら相互の歴史的系譜関係や、その相互の社会的連関性、かつ遺族会との関わり等を全体的に把握できるように努めた。一方、後者においては、より個別的な戦没者慰霊の実態を把握するため、相川町に調査対象を絞って、町立相川文書館に保管されている、厚生省管掌の援護法該当者を対象化した「戦没者調査票綴」等を収集し、その分析を行なって具体的な個人レベルの把握を企図した。また同館に保管されている「支那事変一周年記念行事ニ関スル件」等の史料も収集し、戦前・戦中期になされた諸種の儀式・儀礼の把握に努め、戦後の慰霊行事に連なる要因・背景を検討した。また以上の、佐渡という一地方の戦没者祭祀の展開と、中央政府の政策との関連を捉えるため、全国各地の招魂社・護国神社の傾向性を分析するほか、今年度は佐渡同様に満州開拓団を多く輩出した長野の、松本市にある長野県護国神社のあり方との比較し、さらに今日、災害や大事故犠牲者に対して盛んに行われる、慰霊とは何なのか、慰霊形式の発生についても歴史・民俗学的考察を深めた。
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