2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610306
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Research Institution | Keiwa College |
Principal Investigator |
神田 より子 敬和学園大学, 人文学部, 教授 (40247424)
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Keywords | 鳥海山 / 修験 / 大物忌神社 / 吹浦 / 宗教民俗学 |
Research Abstract |
本研究は山形県遊佐町鳥海山吹浦地区に残る鳥海山修験と衆徒の宗教生活、宗教活動とその組織の実体、位階を受けるプロセス、修験道と神道との関わり、地域の伝承などを探り、地域社会での位置づけと周辺地域に及ぼした文化的影響力の解明を目指した。 本年度は平成10年度から始まった研究計画の最終年度に当たる。そこでいままでに資料収集を行ってデータベース化した1770点の文書目録、明治の神仏分離令以降、吹浦修験の拠点であった大物忌神杜の『社務日記』の翻刻を資料として報告書に掲載する。 近世期に「吹浦二五坊、社家三家、巫女家一家」と総称されてきた、吹浦神宮寺に所属していた修験及び衆徒の家々、及び周辺地域からの聞き書きから得た成果は以下のような概要である。鳥海山大物忌神社を中心とした吹浦口の宮所属の修験及び衆徒は、他の鳥海山修験に比べ、近世期に神道の色合いを濃くしていったこと、鳥海山頂の領有権争いが激化していたこと、明治の神仏分離令に伴い、鳥海山周辺の他の地域との軋轢が激化し、訴訟問題を起こしており、それが未だに禍根を残す結果となっていたこと、そして現在行われている神社の祭礼が鳥海山修験及び衆徒の位階を受けるプロセスと密接に結びついていたことである。 上記の分析結果、データベース化した文献目録、翻刻した大物忌神杜の『社務日記』を報告書として提出する。
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