1999 Fiscal Year Annual Research Report
新史料翻刻による花祭の芸能史的位置づけ-大神楽から花祭へ-
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10610310
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Research Institution | National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo |
Principal Investigator |
中村 茂子 東京国立文化財研究所, 技能部, 民俗芸能研究室長 (10099921)
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Keywords | しずめ / 火の王 / 水の王 / へんばい / 土公神祭文 / 宝数え / 翁猿楽 |
Research Abstract |
3年計画の2年次である今年度は、武井正弘・伊藤善夫両氏の協力を得て収集資料の翻刻・註釈・解題・版下作成を進める一方、並行して花祭り次第中最も重要な演目とされている演目の一つである「しずめ」について聞き書きをおこない、論考執筆を行った。 「しずめ」は伝承地によって<火の王>が行う一人しずめと、<火の王・水の王>が行う二人しずめがある。両者の行う呪法は基本的に同じであり、反閇・印・九字によって構成されている。江戸時代に行われていた集落合同の式年祭である大神楽においては、「しずめ」と並行して「土公神祭」が行われており、「土公神祭文」が読誦されていた。この祭文の一部である<宝数え>は、古い翁猿楽が持っていた<宝数え>と同様の内容であり、「しずめ」の芸態・目的・成立を解明する上で重要な意味が包含されている。 「しずめ」は、周辺地域に伝承する<おこない>の「しずめ」から展開したものであり、翁猿楽の芸態・目的を取り入れることで成立した。
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