1999 Fiscal Year Annual Research Report
近世巨大寺院の在地支配と社会構造に関する基盤的研究
Project/Area Number |
10610320
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
吉田 ゆり子 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (50196888)
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Keywords | 比叡山延暦寺 / 山門 / 寺院 / 寺領 / 門前町 / 公人 / 身分 / 社会集団 |
Research Abstract |
本年度の研究目的を達成するために、以下の活動を行った。 (1)比叡山延暦寺の支配機構および寺領の構造を検討するための史料を収集するために叡山文庫に出張し、史料を閲覧し、業者に委託してマイクロ撮影と焼き付けを行った。 収集している史料は、寺領の百姓・公人などから領主である延暦寺に提出された訴状や届書を、執行代が書き留めた「願口上書諸証文写」である。これは、17世紀後期から伝存しているが、本年度は、昨年度に引き続き寛政年間までのものを収集した。 (2)門前町上坂本と下坂本の町並や里坊や寺の配置を知ることのできる絵図を見つけ、これによって、門前町の構造を分析する大きな手掛かりを得た。 (3)公人と呼ばれる特殊な身分集団の性格を解明するために史料調査を進めている。永田家については、現状記録作業がほぼ終了し、仮目録作成のためのコンピューター入力作業を継続中である。松嶋家については、現状記録作業を継続している。 (4)公人身分を考えるために、公人と上坂本の百姓、あるいは公人と日吉神社の社人との争論関係文書の解読を進めている。また、これまで不明確であった山王祭礼のあり方を復元し、祭礼における公人の役割を考察している。
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