1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610330
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
荻 慎一郎 高知大学, 人文学部, 教授 (60143070)
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Keywords | 鉱山 / 対馬藩 / 銀鉛山 / 佐須 / 鉛製錬 |
Research Abstract |
1、 史料および文献の調査・収集 (1) 本年度は主として、長崎県立対馬歴史民俗資料館所蔵宗家文庫の鉱山関係史料を調査し、写真撮影による収集を進めた。また九州大学九州文化史研究施設所蔵の鉱山関係史料の写真撮影による収集をした。 (2) 対馬関係の文献資料の調査収集を実施した。また、鉛の流通等を調査するため、長崎県立図書館や沖縄県立図書館等において、当時の西日本で海外に開かれていた窓口にあたる地域の文献等を調査した。 2、 本年度における研究上の知見等の成果 対馬藩の鉱山としては、佐須銀鉛山が第一に位置するが、同山は、慶安3年(1650)に近世における本格的な開発がはじまる。同山は最盛時に4000〜5000人の多くの人口を擁し、月産の銀生産20〜30貫目、ルカス鉛年産60万〜70万斤の繁栄をみたが、寛文7年(1667)当時の人口は1400〜1500人に減少し、漸次衰退化がみられ、享保2年(1717)には530人となり、元文2年(1737)には一旦閉山された。 本年度は幕府巡検使への報告などから同山の概要(人口、銀生産高や鉛生産高等)をまず究明し、さらに鉛・銀の流通、製錬技術、鉱山労働力の移動などについて収集した関係史料を整理してまとめ、その一端については学会で口頭発表した。来年度は、引き続き対馬藩領鉱山史料を収集・整理し、佐須銀鉛山を含めて同藩領の他鉱山についても研究を進める。 3、 研究発表等 今年度の研究で得られた知見については、10月に福島大学において開催された東北史学会大会(日本近世・近代史部会)において「佐須銀鉛山(対馬藩領)について」の題目で、研究成果として口頭で発表した。
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