1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610336
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
海老澤 衷 早稲田大学, 文学部, 教授 (60194015)
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Keywords | 紀伊国鞆淵荘 / 鞆淵八幡神社 / 大善寺 大般若経 / 荘園 / 復原研究 |
Research Abstract |
紀伊国鞆淵荘の現地調査を行い、荘園公領制の解明を行うとともに中世村落の復原研究を進めた。具体的には、和歌山県粉河町役場および和歌山県地方法務局妙寺支局などにおいて3000分の1地形図・小字図・地籍図などの入手・閲覧を行い、さらに該当地域の用水池から耕地に至る灌漑経路、水田における乾田・湿田の別、現地で畑地となっている耕地の旧地目、耕地に付された通称地名などを、主に聞き取りと現況の確認によって図化作業を行った。この作業は予想以上に順調に進み、精密な図面の作製が可能となった。また高野山文書として残されている鞆淵荘関係史料や現地の鞆淵八幡神社に残されている史料のほか大善寺大般若経の調査も進み、これらは本年度『紀伊国鞆淵荘調査報告書 資料編』として刊行することが可能となった。また、トプコン反射実体鏡3型の購入により空中写真の実体視が可能となり、復原研究に大きな進展を見ることととなった。これらの成果については1999年度に報告書を刊行し、明らかにしたい。 以上のことにより、中世における在地領主による耕地開発の状況と、荘園領主による支配の関係を現地の実態に即して復原することが可能となった。この地域は荘園領主高野山の支配下にあって在地勢力が自己の勢力拡大のため農民支配を強力に進めようとしたが、それに対して農民が自立的な行動をとったことで学界に知られている。今回の調査により、現況の記録を残すとともに文献資料では不可能であった詳細な荘園の復原を行うことができた。
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