1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610339
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
川崎 勝 南山大学, 経済学部・経済学科, 教授 (70298553)
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Keywords | 西周 / 西升子 / 津田真道 / 森鴎外 / 元老院 / 津和野 / オランダ |
Research Abstract |
本研究は、「幕末明治期の西洋学術の導入過程の研究」の一環として、西洋学術導入に多大な影響を与えた西周を取り上げ、その「日記」を中心に足跡を追うものである。 「西周日記」は、慶応3年(1867)から明治27年(1894)までが現存するが、明治15年以降はほぼ連日記載されているのに対して、慶応3年から明治14年(1881)までは断片的なものが残されているに過ぎない。その空白部分を補うものとして、西の自伝といわれる「西家譜略」があるが、これもオランダ留学や幕末の徳川慶喜に伺候したことについては記載があるが、その後については筆が及んでおらず、そこで西周夫人の「西升子日記」が極めて重要な意味をもつ。従って、まず「西升子日記」を完全な形で翻刻することと、『西周全集』に未収録の「西周日記」の明治20年以降の翻刻を行なうことを第一の課題とした。 「西升子日記」は、単に西の足跡を知る手懸かりとなるだけでなく、幕末明治期の数少ない女性の日記としても珠玉のもので、直接政治過程の論証に結びつく記述は少ないが、その周辺情報は極めて重要な内容を提供している。 未刊行の「西周日記」は、公的活動から退いた時期の個人的な記録と評されてきたが、従来ほとんど知られていない元老院での民法講義や、持続している明六社の集まりをはじめ、森鴎外に関することなど、非常に興味深い事実を知ることができる。 「西周日記」は難読なため解読にはさらに時間を要するもので、現在翻刻に向けてなお解読作業を進めている。
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