1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610341
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
本多 博之 安田女子大学, 文学部, 助教授 (30268669)
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Keywords | 銭貨 / 大内氏 / 清科 / 石高制 / 毛利氏 / 巌島 / 豊臣期 / 巌島役人 |
Research Abstract |
今年度の出張調査は、東京大学史料編纂所・大阪城天守閣・山口県文書館等で実施し、戦国期および豊臣期関係文書の写真撮影、影写本・謄写本・写真帳の閲覧等の方法で史料蒐集を重ねた。特に,東京大学史料編纂所では、写真帳で『大日本古文書』の活字史料の校合を丹念に行なったほか、可能な限り写真複製により史料の広範な蒐集に努めた。また、山口県文書館では、「遠用物」をはじめとする未紹介史料を数多く閲覧した。 こうして蒐集した史料は、昨年同様にパソコンのデータベースソフトを活用して、地域別・編年別の整理を進めほか、多くの県史・市町村誌類の活字史料をアルバイトの協力を得て複写し、家別・編年別の整理を行なった。また、研究史の整理のために、多くの関係論文を文献複写の形で図書館を通じて広く取り寄せ、その蓄積を図った。 今年度に行なった研究内容としては、まずは昨年に引き続き、中世貨幣の問題を取り上げ、出張調査の過程で入手した史料を利用し、戦国期の大内氏支配下の筑前・豊前両国を主な対象地域として、基準額「清料」の存在形態と実際の銭貨通用の実態を大名権力と在地勢力の対抗関係のなかで明らかにするともに、この基準額「清料」が権力編成の基本原理である石高のなかに包摂されていく過程を探ることによって、銭貨の観点から石高制の成立について検討した。また、戦国期から豊臣期にかけての毛利氏の厳島支配についての研究に本格的に着手し、まずは毛利氏時代における厳島「役人」に焦点をあてて、彼らの出自や役割、そしてその歴史的意義について具体的に明らかにした。これらについては、近日中に学術論文として発表の予定である。
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