2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610347
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Research Institution | OSAKA PREFECTURAL COLLEGE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
黒田 達也 大阪府立工業高等専門学校, 一般教養科, 教授 (30149942)
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Keywords | 王統譜 / 和珥氏 / 多氏 / 蘇我氏 / タラシ / イク |
Research Abstract |
1.丹波関係系譜の復原的研究 『古事記』『日本書記』に記されている丹波関係系譜の復原し,天皇関係系譜との関係を明らかにすることを課題とした。『古事記』『日本書記』に見える系譜が成立するまでに,6世紀前半の継体段階,6世紀半ばの欽明〜敏達段階,7世紀前半の推古朝(「天皇記」)段階の,3段階を経て、『古事記』『日本書記』編纂段階で最終的にまとめよげられたこと,息長氏関係系譜と密接な関係を有して形成されたことが明らかになった。 2.5世紀以前の王統譜の形成に関する総括的研究(再検討) 和珥氏関係・多氏関係・蘇我氏(葛城)関係のそれぞれの系譜を検討し,それぞれの原型を復原するとともに,『古事記』『日本書記』の系譜の成立に至る過程を追究した。結果としては,多氏関係が大きな比重を占める継体段階,それを改作・変改しながら新たな系譜を加えた,和珥氏系による欽明〜敏達段階,この系譜を解体・変改して蘇我氏系によって編纂された「天皇記」の系譜,更に蘇我氏没落後の天武朝で開始された修史事業を経て,『古事記』『日本書記』に伝えられる系譜になったことが明確になったと思う。 また,「イク」や「タラシ」という特殊を称を含む皇族名の王統譜上での位置づけも,同様の経過のなかで定着したことを明らかにし得た。
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