1998 Fiscal Year Annual Research Report
抗日戦争時期における重慶国民政府・南京傀儡政権・華僑の三極構造の研究
Project/Area Number |
10610353
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
菊池 一隆 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00153049)
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Keywords | 華僑 / 華人 / 僑務委員会 / 海外国民党支部 / 重慶国民政府 / 汪精衛 / 「C・C」 / 「藍衣社」 |
Research Abstract |
本年度は、科研費購入の国民政府系新聞『中央日報』の数年分を読み込み、重慶国民政府の華僑行政と華僑関連記事の摘出を終えた。かくして、抗日戦争時期に関しては、骨格はすでにパソコンに入力しており、国民政府の戦時華僑行政の変遷を僑務委員会と華僑の動向を軸に、月日をおって、その実態、意義と限界、特色の本格的分析、解明の準備は整ったといえる。特に(1)日本、及びその植民地の朝鮮、台湾の華僑、(2)日貨ボイコットが激しかったが、日本に占領された東南アジア華僑、(3)日本に抵抗を続行した欧米華僑に大別されるが、研究の結果、日本、台湾を結ぶ沖縄華僑の存在が浮上してきており、来年度はこの解明にも取り組みたい。また、中国政府の華僑への影響力や掌握度を、僑務委員会、海外国民党支部のみならず、歴史開拓的に特務「C・C」系、「藍衣社」の実態把握と動向分析を通じて多角的視点からアプローチしている。この結果、日本の侵略に融和的であったとされる「C・C」系が華僑掌握に一定の成功を収め、抗日を指導しているという事実が明らかになり始めた。既発表の南京国民政府の華僑行政に関しては、論文の充実を図ると共に、明清から辛亥革命を経て1930年に至る中国政府と華僑との関係の確定を行なった。なお、関係史料は外交史料館、愛知大学霞山文庫等で集中的に調査、収集した。汪精衛・南京傀儡政権、及び日本占領地での政策と華僑については、平成11年度にアジア経済研究所と立命館大学で史料を集中的に集め、12年度に論文を完成させる計画である。
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