石刻史料による元代漢人知識人社会の研究

1998 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10610364
• Research Institution: Nara University
• Principal Investigator: 森田 憲司 奈良大学, 文学部, 教授 (20131609)
• Keywords: 石刻資料 / 元朝 / 士大夫 / 漢人知識人 / 科学 / 銭大〓

Research Abstract

4年計画の研究の初年度である本年は、元朝における知識人社会研究のための基本資料の調査収集を中心としておこなった。まず、文献資料の収集では、『四庫全書珍本』や、『北京図書館古籍珍本叢刊』をはじめとして、地方志関係、文集関係を中心におこなった。また、書誌関係文献についても、朝鮮書誌学をふくめて、重点を置いた。なお、宋代の士大夫社会研究は、これまでにもかなりの蓄積が存在するところであり、関係出版物を収集した。とくに、予定しなかった資料の何点かが古書で人手できたこと、清朝時代にこの分野の研究をおこなった銭大 の著作集が中国で出版ざれ、購入できたことは、設備関係費用の出費が増える事とはなったが、結果としてさいわいであった。一方、国内研究機関所蔵資料の調査では、京都大学(附属図書館、人文科学研究所)、大阪大学附属図書館、東洋文庫、内閣文庫、国立国会図書館などに所蔵される、地方志、類書などの調査を行い、元朝の漢人知識人政策、科挙の実施細目やその合格者名などに関わる資料を収集し、かなりの収穫を得ることができた。とくに「新刊類編歴挙三場文選」諸本の調査、「新編事文類聚〓墨大全」のうち、京大本、米沢本の調査がおこなえたことはさいわいであった。来年度は、これらのデータを整理するとともに、足りない部分を補うための調査をおこないたい。また、銭大 の「元進士考」をベースにした、科挙合格者の調査を進展させたい。