1998 Fiscal Year Annual Research Report
清末民初,列強と湖南省の郷紳をめぐる規範と秩序-条約と租界に関する係争を中心に-
Project/Area Number |
10610366
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Research Institution | Tokyo Jogakkan Junior College |
Principal Investigator |
藤谷 浩悦 東京女学館短期大学, 国際文化学科, 助教授 (70238624)
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Keywords | マッケイ条約 / 租界 / 郷紳 / イギリス / 日本 / 公議 / 秩序 / 規範 |
Research Abstract |
本研究の課題は、中英続議通商行船条約(マッケイ条約、1902年締結)の規定が地域社会でどのように受け止められ、履行または拒絶されていったのかという点を中心に、清末民初における中国を取り巻く国際環境と消朝中国の特質を考えようとしたものである。そして、その際、主題としてあげたのが1904年の長沙開港後に発生した租界の設置をめぐる問題であり、研究計画書の中では平成10年度は同問題に関する基本的文献の渉猟とともに現地調査を行い、中国側の文献を調査することとした。 平成10年度はこの計画に基づき、中国近代史に関する基本的文献を渉猟するとともに、中華人民共和国湖南省に赴き、湖南師範大学・暁懐民教授の協力をえて、湖南省図書館、長沙市図書館、湖南省社会利学院図書館、湖南師範大学図書館で文献の調査にあたった。特に、湖南省図書館では、1909年から1910年までの湖南省地方議会の議事録(『湖南諮議局己西議事録』)を閲覧・複写することができ、これによって清末の先の問題に対する地方議会での議論の状況が明らかとなった。 本研究の課題に対する研究・報告の一端は、平成10年6月13日の社会文化史学会で「清末民初の政局と『公議』-地域社会と規範、そして政治」と題して行った。この報告の内容に湖南省長沙での調査内容を加えてまとめた論文は、平成11年春に刊行予定の『社会文化史学』第40号に掲載されることになっている。このように平成10年度の研究計画は順調に行われ、多くの成果をあげることができたが、湖南省長沙市における文献調査にはまた不充分なものがある。時を改めて再度調査を行いたい。
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