2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610384
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Research Institution | MIIJI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐藤 清隆 明治大学, 文学部, 助教授 (90235333)
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Keywords | 居酒屋 / イギリス / エール祭 / 互助 / エールハウス / ピューリタン / 酩酊 / モラルの改革 |
Research Abstract |
今年度は、研究課題に関わる二つのテーマを研究した。一つは、「持ち持たれつ居酒屋の世界」というテーマで、シェイクスピア時代のエールハウスに形成される、「互助」・「慈善」・「もてなし」の側面を明らかにした。当時、エールハウスは、公権力やピューリタンから、悪漢や浮浪者のたむろする「サタンの巣窟」・「あらゆる悪習や不正の温床」・「貧困を生み出す施設」などと見なされていた。本研究では、その像とは異なるエールハウスの「貧困を救済する施設]・「飢餓に対する主要な砦の一つ」という側面に着目し、中世・近世に存在していた「互助」・「慈善」・「もてなし」の側面を強く持っていた「エール祭」との比較を通してエールハウスがもつ歴史的特徴の一端を明らかにした。[『史海』47号(2000年6月25日)] もう一つは、「ピューリタンの『酩酊』批判とモラルの改革」というテーマで、当時の居酒屋政策にも影響を与えたピューリタンの「モラル・リフォーム」運動を検討した。通常、彼らの「改革」は「神の言葉」(=聖職者)と「剣」(=行政官)との協働の側面をもっていたと言われているが、今回の研究ではそのうち聖職者サイドに限って問題とし、とくにS.ウォードとD.デントの「酩酊」批判の著作を取り上げ、「酩酊」批判の中味やその背後にある「宗教思想」を検討した。その結果、ピューリタン聖職者の「モラル・リフォーム」には、黙示録的な終末論や「選民思想」をベースに神の「審判の教説」が存在しており、それへの「恐れ」が、彼らをして「モラル・リフォーム」に駆りたてていたことを明らかにした。[東北大学経済史・経営史研究会(2000年12月9日)報告、未発表]
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