1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610403
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
花谷 浩 奈良国立文化財研究所, 飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 主任研究官 (70172947)
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Keywords | 古墳時代 / 馬具 / 階層性 |
Research Abstract |
今年度は、東日本を主な対象として、馬具類を出土した古墳の地名表を作成し、これをデータベース化した。さらに、必要な資料については、実測写真撮影なとを行いながら観察した。馬具出土地名表については、昨年製作したものをあわせ、実測図などを画像データとしてとりこんだ。これによって、東日本における馬具出土古墳の地域差をみると、静岡県と長野県とが馬具出土数において傑出する。 これらの地域で馬具出土古墳が多い理由については、古墳時代の牧と馬匹生産との関連が指摘されている。確かに、この二つの地域では、大型・中型古墳だけてなく、小型の古墳からも多数の鉄製馬具が出土しており、静岡県では横穴墓からの出土も顕著である。 これとやや類似する傾向を持つのが、岐阜県・愛知県などであって、必ずしも大型の古墳に馬具類が集中するわけではない。 一方、千葉県など関東地方では、中小型古墳からの馬具の出土はあまりなく、大型古墳からの馬具出土が顕著な地域があり、これらの地域ては、装飾大刀や甲冑なども合わせ持つ場合が多い。 このように、東日本では西日本よりも馬具出土古墳の地域差が大きいように思われる。これは、東日本の歴史性に関連する現象とみてよく、今後、西日本の状況と対比しながら、馬具出土古墳の階層性と地域性をさらに究明していきたい。
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