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1999 Fiscal Year Annual Research Report

「喉音三行弁」の観念の成立と日本音韻学の自立化過程に関する学説史的研究

Research Project

Project/Area Number 10610408
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

釘貫 亨  名古屋大学, 文学部, 教授 (50153268)

Keywords音声学 / グリムの法則 / 民族主義
Research Abstract

本居宣長『字音仮字用格』「喉音三行弁」は、中世以来の仮名遣いの背後にあってこれを本質規定する古代語の音声の秩序を始めて具体的に明らかにして画期的業績である。宣長の果たした役割は、かのドイツ言語学におけるグリムの法則の発見に比肩される。グリムの法則は、比較文法学の形態分析の過程で、これ以上難散的単位に分割出来ない切片として取り出されたものが綴り字と区別された音声であり、これによって古代ゲルマン語の子音推移が具体的な音価推定として浮かび上がったのである。その際,民族主義者ヤ-コプ・グリムは、古代ゲルマン人の発音を合理的推論によって復元し得たと確信した。グリムと同様な宣長は、合理的推論によって仮名遣いの背後にある古代人の発音の区別を「喉音三行弁」の音声学的規定を通じて復元したのである。従来の言語学史と国語学史が見落としていた重要な点がここにある。すなわち、音声学は民族主義的情熱とともに合理的推論の過程を経て生まれたものであり、その東西の立て役者が宣長とグリムであった。言語学史は十九世紀末のイギリス音声学をもってその開始を告げるのであるが、かかる叙述はこの学問の自然科学としての狭隘な一面を不当に強調するものである。言語学の正当の系統を離れたイギリスにおいて何故十九世紀末に俄かに近代音声学が興起したかを言語学史は決して説明しないのである。かかる意識をもとに、今期は「喉音三行弁」の音声学的規定に先行して日本語音を漢字音から離れた独自の存在としてとらえた文雄の『和字大観鈔』の独創性と定家仮名遣いという伝統に縛られていたその限界を併せて明らかにした。

  • Research Products

    (1 results)

All Other

All Publications (1 results)

  • [Publications] 釘貫 亨: "日本語史の可能性と「国語史」"国語学. 196集. 1-12 (1999)

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Published: 2001-10-23   Modified: 2016-04-21  

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