1998 Fiscal Year Annual Research Report
地方古文書・古記録資料からする日本語史研究の再評価
Project/Area Number |
10610410
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
迫野 虔徳 九州大学, 文学部, 教授 (60039972)
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Keywords | 古文書 / 古記録 / 仮名文書 / 「つ」の仮名 |
Research Abstract |
本年度は、東大史料編纂所の影写本、紙焼き写真等によって、関東、東北地方の中世文書及び比較のためにいくつかの近畿地方の古文書・古記録の調査をおこなった。 伊達文書・上杉家文書・佐竹文書羽文書・相馬文書・八槻文書・青山文書・佐竹文書・奈良文書・市河文書・吉江文書・発智文書・米沢図書館所蔵文書・白川文書・斉藤文書・留守文書・南部文書・高野山文書・醍醐三宝院文書・高山寺文書・大徳寺文書・東寺百合文書・春日神社文書など。 主として仮名文書を調査したが、これまで活字翻刻本等で事前に予備調査をしていた部分はもちろん、多くの未調査のものにも日本語史研究の上で興味深い、有益なデーターが数多く得られた。小林芳規氏の「中世片仮名文の国語史的研究」(広島大学文学部紀要特集3)は鎌倉時代の片仮名文書がかなり活用されているが、ひらがな文書の方が数も多く、また時代を広げることによりもっと広範な活用が可能であることを確認することができた。たとえば、「つ」の仮名の字体には「徒」「つ」のほかにカタカナの「ツ」のようなかたちをしたものがあり、ある時代から促音表記に専用されるようになる。謡本や狂言、幸若など中世末、近世初期頃の芸能関係文献にある程度限られた特殊表記かと予想していたのであるが、実際はもっと早くから広範に行われていた仮名もじ遣いであることがほぼ確認できた。北野天満宮目代日記・会津塔寺八幡官長帳・塵芥集(伊藤本・村田本)・梅津政景日記・結城氏法度などの記録類にも幅広く行われている。早い機会に成果をまとめて公表したいと思っている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 迫野虔徳: "九州方言の動詞の活用" 語文研究. 85号. 72p-82p (1999)
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[Publications] 迫野虔徳: "文献方言史研究" 清文堂出版株式会社, 404 (1999)