1998 Fiscal Year Annual Research Report
宮崎県における在来方言の確認および現在の実態意識に関する研究
Project/Area Number |
10610412
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
加藤 正信 宮崎大学, 教育学部, 教授 (90004035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 修一 宮崎国際大学, 比較文化学部, 講師
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Keywords | 宮崎県方言 / 共通語化 / 新方言発生 / 世代別言語変化 / 多人数調査 / 県内方言分布 |
Research Abstract |
従来、研究物が少なかった宮崎県の方言について、文献・アンケート・実地面接調査により、旧薩摩藩領とそれ以外との方言対立、古語の残存、独特のイントネーション等在来方言の確認をするとともに、老年層から若年層に至るまでの共通語化、独自地方語の発生、方言に対する価値意識の変化を探っている。 具体的には、8月、9月には綾町と野尻町において老年から若年まで計80名の面接調査を行い、実地の談話を収録して現実を観察するとともに、調査項目毎にコンピューター処理等で統計、相関関係等を分析中である。そして、12月には県下130中学への中学生と父兄に分けた通信調査をして、現在、年齢別の宮崎県言語地図の草稿を作成している。 上記は、分析・考察の途中であるが、現在までで言えそうな成果は、例えば、次のようなものである。有名な歴史的仮名遣いどおりの発音(ヂ、ヅ、クワ)や、文語文法式の下二段活用等は老年層でも衰えているが、文法の大部分や語彙の一部には、旧薩摩・日向一般の対立をも残しながら、中年層のみならず、若年にまで地方的な言葉が使われているものも多い。また、断定の「だ」を「ヤ」と言う、同意を求める文末の「コッセン?」の使用、黒板拭きを意味する「ラーフル」という語などは、若年ほど(中学生に至るまで)優勢であるという意外な事実も判明している。これらは、来年度、さらに別地点の多人数調査等により確認して最終的に結論を出したい。
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